命のバトン
道徳とは世の為、人の為にあり、宗教とは自分の為にあるのです。
そして、仏教は宗旨や宗派を問題にしているのではなく、己の心を問題にしています。
あらゆる権力や圧力に屈することなく、過去や未来に拘ることなく、固定観念に囚われることなく、絶えず何が正しいかどうかを自己判断します。
このような考えを仏教では『空』と言います。
お釈迦様は、『正しい心を持ち続けると、おのずから幸せが訪れ、間違った考えを持ち続けると不幸せになります。』を遺言として我々に残しました。
そして自分だけが幸せになるのではなく、全人類が幸せになれるように、人の為、社会の為に尽くすことによって初めて、 ご先祖様から頂いた尊い命を我々の子孫にバトンタッチできるのではないでしょうか。
檀家制度のないお寺
当寺院には檀家制度がありません。
「なぜ檀家制度がないのですか?」との質問が多いので、ご説明申し上げます。
明治10年までは、日本国各地において戸関の管理、移住や婚姻の際には、お寺で手続きをしていました。
この風習が檀家制度の由来です。しかし、この檀家制度は仏教を葬式仏教と謂わしめる元であり、寄付の要請に利用されたりして、手配墓地が敬遠された大きな要因と思われます。
宗旨・宗派の枠を超えて
最近特に分家に於かれましては、宗旨、宗派に拘る人が少なくなりました。
日本の在来仏教の宗祖は比叡山で修行を重ね、どの経典を重視するかによって新しい宗旨が生まれたもので、根本はお釈迦様の説かれた心のあり方を問題にしております。
当寺院もお釈迦様の教えに基いて、ご先祖様に感謝し、家族を大切にし、他人を尊重する心を養うことを教理としております。
全ての人が、互いに尊重し合うことができ、共に社会の福祉に貢献する気持ちが生じた時に初めて、 本当の意味での豊かな国民生活が可能になるのではないでしょうか。
私たちも日々の生活を意義ある生き方、生きがいのある生活をすることによって、一人一人がその慶びを広く他の人々に広め、萬民豊楽となることをお祈り申上げます。
皆さまのご先祖さまの御霊を祀り、日々ご供養する所であると同時に皆さまの安息所となるよう精進しております。
合掌